こぼれ話 第一回:2020年1月~2月

さて、広島とか全然関係ない話とか、たくさんニュースを出しているのに全く関連性のない話ばかり出しても何なので(笑)一つ新しい企画を考えました。


昨年12月の終わりころに開設したこのサイトですが、実は宣伝さんなんかがリリースしたものをそのまま流している情報も多いのですが、中には「この情報を出してください」とお願いされつつも、文章がないままに自由に告知してくださいというものも中にはあります。

ある意味ライターとしては力量の見せどころというメリットもあるんですが、

一方で…めんどくせーとも…


(笑)、いやいや、そこはよく目にする相手だったり、自分の領分だったりという情報がほとんどなので、ここはある意味自分の表現したいものを作り上げる一つのチャンスでもあります。

ただ、あまりダラダラと長いことは書けないし、告知するのがメインなので変なことを書いてもということで、ニュース自体には載せてない裏話とか、実はちょっと補足した方がいい内容もあるんです。特に「ナン!でもニュース!!」は、ジャンルを特定しないことを前提としたメディアなので、補足は大事なところ。

そこで、オリジナル記事に限って不規則ではありますが公開させていただいた記事の裏話、補足などを少し書いてみたいと思います。今回は以下の3つについて。

1.映画『彼女は夢で踊る』

これは広島にある「第一劇場」というストリップ劇場を舞台にしたドラマ。まあストリップというと一昔前はいかがわしいイメージもありましたが、以前時川監督やプロデュースを行った横山雄二さんにインタビューを行わせていただいた際には、「今はちょっと様子が変わっている」というお話をうかがいました。

まあ昔は女性の裸=いかがわしい、いやらしいと結果的に悪いイメージでしたが、やはり時代の認識の変化でしょうか、何かその裸の女性を見るということに対して「美しい」という違った観点というか…要は見え方が変わったような印象があります。実際、この映画を見ているとその人間ドラマも相まって本当に何か芸術作品を見るような感覚が芽生えてきます。


ちなみにこの「第一劇場」というのがまた一クせあるところで(笑)。2度の閉館を宣言しながら2度甦ったという…実はこの映画が初めて公開されたのが2019年。広島で先行上映されていたのですが、その時に閉館が決まっており、映画のラストシーンではその「閉館」の旨がしっかりと描かれているんです。

ところが!2019年末にはなんとその閉館宣言を撤回。事情もあったのですがツイッターには「営業を継続」というつぶやきが。そして年も変わり、2020年にコロナ騒動で上映は延期されたものの9月には無事上映され、バルセロナの国際映画祭で賞を受賞したり、国内ではロングラン上映する映画館もあったりとかなりの評判。そしてその舞台あいさつでは、時川監督と横山さんがその「閉館すると言いつつ…」というのを笑い話のネタにするというのが定番になってしまった始末(笑)


実は時川監督と横山さんにインタビューした際、撮影も行うためこの第一劇場を訪れたのですが、なかなか風情のある場所。こういう場所に「いかがわしいところ」という先入観を捨てて来れるのって、ある意味いいなという気もしています。

ところがちょっと心配なのは、「第一劇場」のツイッターの更新が2020年の11月を最後に留まってしまったこと。現在は公式ホームページも消えてしまったようで、実際に現地に行ってないのでわからないのですが、やはりこのコロナ騒動の影響もあってか閉館を余儀なくされたのか…ちょっと寂しいところであります。

2.HEAD PHONES PRESIDENT ボーカリストANZA

いまや泣く子も黙る…というかライブはやかましすぎて余計に泣いてしまうかもしれない(笑)ラウドロックの日本代表的なバンドの一つ、HEAD PHONES PRESIDENT。そのボーカリストANZAですが、例えばホームページの厳つい表情のメンバーの写真なんか見ていたら、知らない人は「これが昔は『セーラームーン?』」と驚くことでしょう。

そもそもANZAは1991年に「桜っ子クラブさくら組」というアイドルグループに所属していたこともあります。意外と知る人ぞ知るという感じのグループですが、実はその卒業生には井上晴美、菅野美穂、加藤紀子なんてビッグネームも。

そしてこの流れで1993年から1998年まで上演されたミュージカルの『セーラームーン』シリーズで、主役の月野うさぎ役を務めることに。


ここでステキだな、と思うのが、やっぱりそのアイドルという経歴を黒歴史と思わず、自身を形作った一つの経歴として大事にしている姿勢。

とある知人のライターさんから聞いた話ですが、ある日昔取材した元アイドルの子が「新しい仕事を始める際の邪魔になるので、昔書いてもらったインタビューなんかの記事を、全部失くしてもらいたい」って…いやいや、ネットの記事取り下げなんて無理でしょ?(笑)と思いつつ、これってちょっと寂しいなぁという気もします。

アイドルとして活躍した時には、多かれ少なかれ応援してくれるファンがいたわけで、つまりはそのアイドルの経験、思い出って、その人だけのものではないはずなんですよね。全部を黒歴史として葬り去りたいというのは、その自分を見て楽しんでくれたその人たちの気持ちまで失くしてしまいたい、ってことでしょう?あまりにも寂しいです。


その意味でANZAはHEADPHONES PRESIDENTで高らかに叫び上げ、髪を振り乱す一方で(笑)今でも過去を肯定しているし、こうして「セーラームーン」にも変わらず向き合って、時には「懐かしの…」とかいう感じでソロ公演なんかをやったりしているんです。

何度かHEADPHONES PRESIDENTのライブを取材したこともあり、当人に対面したこともありますが、ステージ上のカリスマ的な印象とはまた別に、オフステージではサバサバした姉御肌的な雰囲気の方。仲間をとても大事にするような印象もあって、すごく人当たりがいい。

そういった印象って、実はそんなアイドルとして頑張った経験や、「セーラームーン」というエピソードも大きく関与しているのではないでしょうか?「セーラームーン」だって正義の味方、弱きを助け悪を挫くヒロインですしね。

そんなところからは、これからも応援していきたいと思う一方で例えばアイドルを目指す女の子とか、見習えるところもあるんじゃないか?と思うところもあります。昔は「カワイイ女の子」が、今は「美しい女性」「強い女性」「カッコいい女性」と、まさに大きな成長を遂げたわけですから。

3.中国アニメ映画『ナタ転生』

この映画の魅力は、やはりなんといってもスケール感。場面写真なんかを見ると、カスタマイズされたバイクに「ん?『AKIRA』か?」なんて言う意地悪な映画ファンも絶対一人はいるだろうと思いますが(笑)、そんな先入観があっても一見の価値は十分過ぎるほどあります。

それにしてもアニメ『白蛇:縁起』が興行収入70億円越えとか、中国ってホントにスゴイ。さすがに『鬼滅の刃』なんかには並びませんが、それでもかつて日本で大作とか言われる作品でも、億一桁で「大ヒット」というのが通例だったかと思います。

まあそもそも中国って国が大きいだけに市場も大きいわけで、映画だっていうに及ばず。昨年、映画監督の深田晃司さんが広島に訪れた際、とある映画館で上映中の中国映画に関してトークを行うというイベントがあったのですが、その時の話でなんと中国には3万ほどのスクリーンがあるとのこと。

日本で考えると、県の中心部にシネコンが一つ。そこに10未満のスクリーンがあるとして…とか考えると、例えばこだわりの強いミニシアターなんかの数を合わせても1000に届くかどうか、という感じですよね。

そりゃ向こうの市場にかなうはずがない。その意味で『鬼滅の刃』のこの興行収入って、どんだけ異常なのか、本当にみんな見に行っている?コロナで入館制限されてるのに?なんてツッコんでいると鬼滅ファンに刺されそうなのでやめときますが(笑)、まあ3万のスクリーンに一気に全部公開できるわけでもないですからね…


でもそれだけ中国という国が、映画という面で深い映画文化というものが根付いているということもわかるでしょう。バラエティーから芸術作まで、やはりスゴイところでもあります。

またこの『ナタ転生』ですが、今時の中国の若者がどんなことを考えて毎日生きているか、なんてところも垣間見れたりするのも魅力であります。なかなか国が違うと奥が見えないところもあって、他国に不信感を持つケースも時にはありますが、こういった作品はそんな見えない壁を崩す一つのヒントも隠されている気もします。

作品の出来もさることながら、楽しめることも間違いありません!

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